若者の孤独死の原因は、直接の死因と環境的な原因の2つが考えられます。

直接の死因

孤独死の死因は、病気が一番多いとされています。一人暮らしをしていると、急に病気になっても誰にも気づかれず、そのまま亡くなってしまうことが多いからです。また、助けを呼ぼうとしても呼ぶことができない状態であれば、孤独死する危険も高まります。

二番目に多い死因は、自殺です。厚生労働省自殺対策推進室・警察庁生活安全局生活安全企画課の「令和元年中における自殺の状況」によると、孤独死の自殺者は男性よりも女性が多く、とくに20代までの年代が孤独死の自殺者の4割近くを占めています。
（「第6回孤独死現状レポート」一般社団法人日本少額保険協会　孤独死対策委員会2021年6月」）

環境的な原因

環境的な原因には、家族の住まいが遠方である、人間関係が希薄になっている、人付き合いやコミュニケーションを取ることが苦手、貧困が原因の場合の4つが挙げられます。
家族の住まいが遠方である

実家から離れていたり、兄弟や親戚が遠方に住んでいたりすると、あまりお互いの状況がわかりません。そのため、病気などで体調が悪化しても、変化に気づかれない場合があります。
逆に、互いに近くに住んでいると、ちょっとした用事で行き来することもあるため、相手の状態を把握しやすいと言えます。連絡や会話もしやすいので、些細な変化にも気づく可能性が高くなります。

人間関係が希薄になっている

孤独死は、普段から家族や友人、知人とあまり連絡を取らない人に起こりやすいと言われます。また、職場や学校で悩みを打ち明けたりせず、表面上の付き合いだけで済ませる人も、変化が起きたときに気づかれにくい傾向があります。
さらに、隣近所など身近な人と一切関わりを持っていない人も、異常が起きた時に気づいてもらえない可能性があります。
毎朝あいさつをしている人が数日顔を見せなくなると何かあったかなと思ってもらえますが、普段から関わりがない人に対しては、周囲も変化に気づきにくい、といった具合です。

人付き合いやコミュニケーションを取ることが苦手

人付き合いやコミュニケーションが苦手な人は、様々な場面で消極的になりやすく、周囲にも強い印象が残りません。そのため、変化が起きても気づいてもらえない可能性が高くなります。
バイトや学校を休んでしまっても、そういう性格だから仕方ないなどと決めつけられ、心配されないケースもあります。

貧困が原因の場合も

貧困が原因の場合もあります。お金がなくて健康的な食事ができない人や、体調不良なのに病院に行けない人などが該当します。家賃や光熱費、社会保険などの支払いに追われると、このような状態に陥ることは珍しくありません。
また、近年では、正社員になれないせいで貧困に陥る若者もいます。家族や親戚と連絡を取っていなかったり、悩みを溜め込んだりする人は孤立しやすいため、病気を悪化させてしまうこともあります。

若者の孤独死を防ぐには

若者の孤独死を防ぐには、家族や親戚、友人知人が定期的に連絡を取るのが一番です。
一人暮らしは他人の目を気にしなくて済む反面、食事が疎かになったり、生活リズムが崩れたりしがちです。一人暮らしをする若者に連絡する時は、規則正しい生活や、健康な食生活を意識するよう声をかけましょう。このとき心身共に異変はないか、よくチェックしてください。
近隣との関わりを持つことも大切です。一人暮らしを始めるときは、隣人や管理人、大家さんなどにしっかりあいさつをしましょう。生活リズムや顔を覚えてもらうことで、何かあった時に声をかけてもらえることもあります。大学進学などで、子どもが一人暮らしを始めるときは、親も一緒に挨拶回りしておくと安心です。
SNSを利用している人は、定期的に投稿をチェックするのも手です。頻繁に投稿していた人が急に投稿しなくなったり、コメントの様子がおかしかったりするなど、変化に気づけることもあります。