事故物件の告知義務ガイドラインポイント

事故物件ガイドラインの位置づけとは?

このガイドラインの正式名称は、「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」です。その名の通り、物件を仲介する宅建業者に向けて出されたものですが、オーナー様も内容をよく知っておく必要があります。

告知すべき内容をオーナー様が宅建業者に伝えないまま契約が行われた場合、買主や借主から損害賠償を請求されることもあるからです。

ガイドラインは専門家によって策定され たものですので、今後は裁判でも一定の基準となることが考えられます。

対象は「居住用の物件」
建物には居住用 (アパート、マンションな ど)と事業用(事務所、店舗など)がありま すが、ガイドラインの対象は、原則として 居住用物件のみです。理由は居住用物件 の買主・借主は住み心地を重視するため、「人の死」があったか否かによって影響を受 ける度合いが高いと考えられるからです。

事故後に建物を解体して土地を取引する場合は告知対象となりません。
「事業用」 「建物解体後の土地」の告知はケースによって異なります。

「事業用物件」や「建物解体後の土地」であっても、無条件に告知が不要なわけではありません。
告知が必要なケースと期間
賃貸オーナーが知っておきたいポイントは次の4つです。

①「自然死」 「不慮の事故」が起きた物件

売却・賃貸する物件内で自然死や日常 生活での不慮の死(転倒事故や誤嚥など) が起きた場合は、原則として買主や借主に告げる必要がありません。人は誰でも亡くなるものだからです。
ただし、発見が遅れて居室が激しく損傷し、大規模リフォームや特殊清掃が必要になった場合には告知が必要です。

②「自殺」「事件による死」が起きた物件

①以外の死(自殺や他殺など)につい ては、売却・賃貸する際、心理的瑕疵として告知しなければならないとされています。

③告知すべき期間

②の場合、「いつまで告知しなければならないのか」が問題となります。
賃貸については、原則として事故発生から3年が経てば告知の必要がなくなります。時の経過によって、心理的瑕疵の程度が和らいでいくと考えるからです。
売却については期間の目安がありません。したがって、ケースバイケースの判断となりますが、無期限で告知するのが無難だと考えます。

④買主、借主から問い合わせがあった場合

心理的瑕疵の捉え方には個人差があり、 人の死を非常に気にする買主・借主もいます。したがって、前記①~③にかかわらず、「過去に物件内で人の死があったか」を尋ねられた場合は告知が必要です。
また、社会的な影響の大きさから買主、 借主が把握しておくべき特段の事情があると認識した場合も同様です(例:複数の 近隣住民から情報が寄せられた場合)。

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