事故物件の相続放棄

みなさんは相続放棄と聞くとどのようなイメージを持たれますか?「借金から逃れられる」「相続の煩わしさから解放される」と思われる方が多いかと思います。
前述のようなイメージにより事故物件の相続人になられた際に(相続放棄をすればいいのでは?)とお考えになる方がいらっしゃいます。
今日は事故物件の相続放棄についてご紹介します。

事故物件の相続放棄とは

相続放棄とは「相続人が被相続人の権利・義務を一切受け継がないこと」です。事故物件の相続人となられた方は特殊清掃や販売の手間を考えた際に、相続放棄をすれば煩わしい問題から解放されると思われるかもしれません。しかし相続放棄をしても事故物件の管理義務が消滅しないことをご存じでしょうか?

所有者のいない不動産は?

「所有者のいない不動産は国庫に帰属する」と民法で決まっています。つまり事故物件の相続人全員が相続放棄をした場合、最終的には国に引き継がれることになります。
しかしこの国に引き継ぐまでの手続きがとても複雑で、その引き継ぎが完了するまでの間は例え相続放棄をしていても事故物件に対する管理義務は残ります。
管理義務とはなにかと言いますと「周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、空家等の適切な管理に努める」ことです。
事故物件の状態にもよりますが、近隣住民へ迷惑が掛からないように管理するとなると費用が発生します。

そして不動産を国庫へ帰属するためには相続財産管理人の選定が必須です。この相続財産管理人を選定するには「申し立て費用」「予納金」「専門家報酬」の3つの費用が必要になります。申し立て費用は誰が申し立てを行うかによって変動します。
ご自身で申し立てを行う方もおられますが、弁護士に依頼する場合の相場は20万円程度です。予納金は故人の資産により裁判所が決定しますが、予納金の相場は10~100万円程度と言われています。
専門家報酬は選定された相続財産管理人に対して支払う報酬で、月額1~5万円程度が相場になります。

このように相続放棄をしても多くの費用が発生します。

場合によっては相続放棄をせずに売却した方が利益が出ることもあります。面倒なことから解放されると思われがちな相続放棄ですが、その後があることも含めて慎重にご検討ください。

お困りの際はお気軽にやすらか不動産までご相談ください。
お読みいただきありがとうございました。

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