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2023.03.02
- 事故物件
集合住宅での孤独死の告知義務は?
孤独死の告知義務
不動産を取引する場合、物件に存在する「物理的な瑕疵」「法律上の瑕疵」「環境的な瑕疵」「心理的な瑕疵」を買主や借主に対して伝える告知義務があります。
自殺・他殺などの事件があった場合や火災などの事故があった場合などが、心理的な瑕疵物件にあたり、孤独死もそこに含まれます。
心理的瑕疵物件=事故物件として扱われ、居住する方が不安や不快な感情を抱く可能性があり慎重に扱うべきものとなります。
「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」によると、物件で起こった自然死などの不慮の死以外の場合は、告知しなければなりません。
また、自然死などでも、発見までの期間が長く、特殊清掃を行った場合は告知の必要があります。
では、集合住宅の共用部分で孤独死が起こった場合はどうなるのでしょうか。
集合住宅の共用部分での孤独死の告知義務
現実的に考えますと、共用部分での孤独死は、極めて可能性が低いように思いますが、事故や病気による突発的なもので、共用部分で亡くなってしまい、すぐに発見されない場合もあるかと思います。
ガイドラインによると、告知を必要とする死因に対しては、隣接住戸で起こったものは原則として告知しなくてよいとされています。ですので、別の部屋や別の階に対しては、原則告知の必要がありません。
専有部分ではないベランダやバルコニー、テラスなどの居住する方だけが使用できる場所での告知を必要とする死因に対しては、売買物件では常に、賃貸借物件では原則3年間の告知の必要があります。
ただし、それらは、同じ建物内あっても上階や下階への心理的な瑕疵は及ばないと考え、告知は実際にそのベランダなどがある部屋に居住する方にのみとなるでしょう。
共用部であるホール、廊下、階段、玄関やエレベーターなどの日常生活で使用する場所での告知を必要とする死因に対しては、そこを通ったり使用したりすることで、人の死を思い、不安や不快を抱き、住み心地に影響する可能性があるため、売買物件では常に、賃貸借物件では原則3年間の告知の必要があります。
買主・借主が通常使用しない共用部分である設備室のような場所の告知を必要とする死因に対しては、原則として告知しなくてよいとされています。
以上、集合住宅の共用部分での孤独死の告知義務について触れてみましたが、亡くなったのがどこであっても、事件性、周知性や社会に与えた影響が特に高い場合は、告知義務があるということは、念頭に置いておいてください。